『マンガでわかる百人一首』の感想
今回は、2010年12月15日に池田書店より発売された『マンガでわかる百人一首』の感想記事を書いてみたいと思います。
ネットで見かけて「面白そうな本だな」などとツイッターでつぶやいていたら、その後このブログを通じて池田書店さんより、「もしよろしければ、献本させていただきたいと思います」とのメールをいただき、喜んでその申し出を受けることとなりました。
というわけで、競技かるたをやっていて歌は百首覚えているけど、作者や時代背景や意味はあまりよく理解できていないという僕が、この本を読んでみての感想を書いてみたいと思います。
マンガの描かれている割合
この本のタイトルには『マンガでわかる』とありますが、実は百首全部の解説がマンガによって描かれているわけではありません。マンガだらけの本を望まれている方は残念に思われるかもしれません。
歌ごとに1,2ページのマンガが描かれているのですが、約4割の歌はマンガではなくイラストの一枚絵となっています。情景を詠んだ歌などマンガにしづらいものがイラストになっているのかなと思うのですが、マンガが面白いので百首全部描かれていたらもっと良かったのになと思います。
百人一首の作者たちの関係が分りやすい
この本では、百人一首の作者たちの関係をたくさん教えてくれます。作者の交流関係や家族関係などを、百人一首の歌番号を添えて書かれています。古典に詳しい方にとって常識的な知識であったとしても、皮相浅薄な僕にとっては初めて知ることになる事実がたくさんありました。例えば、右近の『忘らるる』の歌については、
恋の相手には藤原敦忠(43番)、朝忠(44番)、元良親王(20番)など、そうそうたる顔ぶれがそろう。ただし43番の敦忠の歌は、右近に対してではないらしい。
といった文面が書かれていました。ちなみに、43番の歌というのは『逢い見ての』です。こういう関連性がたくさん分かってワクワクさせられました。
相関図が面白い
そして、さらにその関連性をわかりやすく説明しているのが相関図です。
- 伊勢を巡る相関図
- 右近を巡る相関図
- 道長一族を中心とした相関図
- 歌人の成熟を支える歌人相関図
- 俊成・定家を中心とした相関図
言葉だけではなく視覚的に理解できて面白いです。こうして見ると、百人一首の作者たちは関連性がかなりあるんだなと再認識しました。
もっと楽しむ歌の世界
歌の意味や人物像だけではなく、時代背景などにスポットライトを当てたコラムページも充実していました。
- 和歌の構造を知ろう
- 色男「在原業平」と謎の美女「小野小町」
- 六歌仙と三十六歌仙
- 歌を分類する「部立」
- 百人一首に彩られた勅撰集の歌
- 百人一首に登場する歴史上の人物
- 平安貴族の1日
- 平安時代の貴族の恋愛スタイル
- 京都を中心とした地名を知ろう(地図付き)
- 和歌に登場する歌枕(地図付き)
- 平安貴族の一生
- 百人一首に登場する法師たち
- 百人一首のプロトタイプ?『百人秀歌』の謎
などなど、これ以外にもたくさんの事柄や裏話が書かれていました。ただ、まとめて書かれているわけではなくページの合間合間に書かれており、目次からもちょっと探しづらいのが残念でした。
必勝!!競技かるた
競技かるたに関するページも、絵や図を交えて10ページほど書かれています。簡単なルール説明と決まり字早見表が書かれているので、これを読んで競技かるたに興味を持ってくれる方が出てきたら嬉しいですね。
ただ、既に競技かるたをやっている人にとっては知っていることばかりだと思うので、新たに得られる知識は特にないと思います。
今度は、競技かるた本を出版してくれたら嬉しいな……とつぶやいてみる(笑)
競技かるたをやっている人に勧めたい
競技かるたをやっている人は、練習を重ねていくうちに自然と歌を百首覚えていくと思います。しかし、歌の意味や作者についてはほとんど知らない人が多いというのが現状です。
確かに、競技かるたを強くなる上でそういった知識は必要ないかもしれません。しかし、せっかく百人一首を元にした特異な競技に巡り会えたのだから、和歌の世界の意味を知っていくことによって、今よりもっと視野が広がって面白いのではないかと思います。
最後に
この本は、百人一首を深く知るための知識がたくさん書かれていて、素晴らしい出来に仕上がっていると思います。『マンガでわかる』というタイトルから、「子ども向けに簡単にマンガで説明しただけでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、読んで見るとその内容の充実さに驚かされることでしょう。
僕は百人一首本をたくさん読んできたわけではありません。だから、この本が既刊の百人一首本と比べて素晴らしい出来なのかどうかは分かりません。しかし、内容が充実している割に非常に読みやすく、知識を無理矢理押し込まれている感じではなく、自分からどんどんと先を読みたいと思わせる内容となっていました。
既に百人一首に詳しい方がどう感じ取られるかは分かりませんが、百人一首に少しでも興味がある方にはぜひ読んで欲しいです。
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