僕と大山札 その3
大学のサークル練習日のことだった。その日は休日練習であり、珍しく県外からA級選手も参加されていて、僕はさっそくその方と対戦することになった。
そのときの大山札の場所は、僕の上段中央に『あさぼらけ』と『わたのはら』が単独で2枚ある状態だった。試合が始まると、序盤でさっそく『あさぼらけ』の出札が読まれ、僕は札を囲って決まり字と同時に指先で手前に払って札を取った。
すると、対戦相手の方は、「なるほど……そうきますか……」と感想を述べて何かを考えているようだった。おそらく、この僕の取り方に対して『わたのはら』をどのようにして取ろうかと考えているに違いない。相手がどのように対処してくるかを楽しみにしながら、『わたのはら』が読まれるのを待った。
そして、そのときが来た。『わた……』と読まれたときに、さっきと同じように札を囲いにかかったのだが……相手の手が僕を襲ってきた!囲おうとしていた僕の手は相手の手に押されて力強く押し戻され、最初に構えていた手の位置まで戻されてしまった。
手を押し戻されることを予想していなかった僕は、全く対処できずに、決まり字が読まれた後に相手にゆっくりとで札を取られてしまった。あっけに取られていると、僕が何も言い出さないうちに、「囲っている手をどかしてはいけないというルールはありませんから」と言いながら、笑顔で札を送ってきた。うーん……まさか、こういう技で大山札を取られるとは(汗)
試合が終わった後は大山札の話になり、相手に札を囲われたときの対処法を聞くことが出来た。そして、その方は囲った手を真上に持ち上げる技……名付けて『ショベルカー』という必殺技を持っていることを教えてもらい、この日から僕はこの技を習得しようと練習に励んだ。
しかし、この技を習得するのは思ったよりも難しかった。普段札を払うときと違って手のひらを上に向ける必要があるし、相手が必ず札を囲ってくるとは限らない。だから、普段は自分から大山札を囲いに行き、相手が札を囲ったときに臨機応変に対処することが必要だった。初めのうちは、相手が囲ってもいないのに、相手の囲った手を持ち上げようと待ち構えてしまうことも多かったのだが、変にこの技に対する意識に重きをおかず、技の動きのイメージだけを心の片隅に置いておくようにした。
数ヵ月後……いつの間にか技が完成していた。見せてもらった必殺技『ショベルカー』とは動きは違うが、相手が札を囲ったときにその手を払うようにして持ち上げる臨機応変さが身についていた。そして、この技を僕は『囲い手崩し』と呼ぶようにし、それからは全く意識せずにこの技が使えるようになっていた。この技の利点はというと、
- 相手が囲ったときにだけ発動し、囲わないときには自分の理想の形で札を取りにいける
- 成功したときは、相手に与える精神的ダメージが高い
- 相手が焦ってお手つきをしやすくなる
- なんか楽しい
こうして、僕の大山札に対する技や意識の基盤が築かれたのであった。ちなみに、このときはまだ僕は初段くらいだったと思います。
<つづく>
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