競技かるたマンガ『はーい とりました!』の感想

競技かるたというマイナーな競技を取り扱ったマンガは少ないのですが、今までどのようなマンガが描かれてきたのかを振り返ってみたいと思います。

雑誌掲載の初出年順に書いていきたいと思います。

【1996年】

【2002年】

  • 氷雨かるた(作:北原雅紀、画:森藤映子)
    →感想記事

【2004年】

【2005年】

【2006年】

【2007年】

【2008年】

【2012年】

このように、僕が知る限り競技かるたを取り扱ったマンガのほとんどは、21世紀になってから描かれたものです。しかし、実は1971年に描かれた競技かるたマンガがあったのです。

それは、別冊マーガレットの1972年1月号掲載の『はーい とりました!(作:河あきら)』です。このマンガの存在は以前から知っていたのですが、何故今までこのブログで取り上げることがなかったかというと、コミックス化されていない作品だからです。

では、前置きが長くなってしまいましたが、ネタバレありで感想記事を書いていこうと思います。

はーい とりました!(作:河あきら

【作品紹介】
古くさい百人一首なんて、ゼーンゼン興味ないもんネ……っていうあなたも、、百人一首が大スキになっちゃうかもよ!!

競技かるたというマイナーな競技を扱うということで、最初の2ページを使って百人一首と競技かるたについての説明がされています。

<前略>
この百人一首のことを
また競技かるたともいうこと知ってますか?
そして「かるた道」ともいうんです

そして そして
その道を志す人たちは
男女の別なく
年齢の別なく
全国各地におかれたかるた同好会でその腕をみがきあげ

年のはじめの全国かるた競技大会において
名人位という日本一の名誉を勝ち取るために競いあっているんです

あ 百人一首の説明からはちょっとそれちゃったかな
ま とにかく
この物語は
そうした競技かるたにファイトを燃やし
日夜努力しつづける一少女の
ガンバラなくっちゃなのでありまーす

このように、ここまでは特に矛盾などがないように思えます。そして、本編の始まりです。

かるたクラブの黒沢さん

舞台は学校のかるたクラブ。顧問の芝田先生との試合に勝利します。ただ、ミニスカの制服姿で試合をしているようで、そんな姿で試合をしたら色々と問題です(笑)試合後に黒沢さんは友だちから話しかけられます。

『この分だと来年の1月4日の全国かるた競技大会が楽しみだわ』
『今年も黒霧会の代表としてでるんでしょ?黒沢さん』
「もちろんよ また決勝まで勝ち進んでみせるわ」

どうやら、このマンガの設定では、各会の代表選手が1月の大会で戦って競いあうことになっているようです。そして、この話しぶりだと黒沢さんは、今年の1月に行われた大会で準優勝ということなのでしょう。

そして、廊下で他の女子生徒がいるのに気が付いて去っていきます。この女子生徒が主人公である乃木若菜ちゃんのようです。

主人公の若菜ちゃん

黒沢さんと若菜ちゃんは仲が悪いようで、その理由を若菜ちゃんはこのように語っています。

「今年の大会の時 決勝でうちのおばあちゃんに女王位をとられたから」
『そうか 若ちゃんのおばあさんは黒霧会のライバルの 白雪会の会長だっけね 若ちゃんはかるたやらないの?』
「やらない」
『だって黒沢さんは家の黒霧会をつぐんでしょう 若ちゃんだってそのうち』
「とんでもない!おばあちゃんはおばあちゃんよ あたしは関係ないわ」

会を継ぐだという話などから、ちょっと現実とは違う世界観なんだなという事が伺えます。

転校生の滝くん

若菜ちゃんが気になっている、四国から来た転校生の滝くん。黒沢さんも気になっている様子だというよくあるパターンのやつです(笑)

かるたクラブへ入部する若菜ちゃん

今年の女王位を獲得した若菜ちゃんのおばあちゃん。病気のため医者に出場を止められてしまいます。大会まではもう2カ月を切っている状態……黒沢さんが女王位になるのが嫌な若菜ちゃんは、かるたクラブに入部して大会に出場することを決意します。

しかし、かるたクラブでは雑用をさせられるばかりで練習が出来ず、自分で練習して歌を覚えようとしますがなかなかうまくいきません。

謎の手紙

ある日、若菜ちゃんの靴箱に紙が入っていることに気が付きます。そこには、百人一首が決まり字別に書かれた紙でした。その後、取り方や練習法についての紙も届けられるようになり、この謎の人物に感謝するようになります。

謎の人物といっても、どう考えても一人しか思い浮かびませんが(笑)

敗北、そして練習

かるたを始めて半月後、かるたクラブに行って黒沢さんと対決することになりました。しかし、払い手・突き手・押え手・返り手などを駆使されて全く手が出ません。

しかし、練習を重ねていくうちに競技かるた自体の魅力に気が付き、大会まで更なる練習を続けます。

大会当日

年が明けて1月4日。女王位の部では若菜ちゃんが活躍し、翌日行われる決勝戦へと駒を進めました。もちろん、決勝戦の相手は黒沢さん。

大会会場で若菜ちゃんの成長ぶりを目の当たりにした黒沢さんは、どんな手を使ってでも勝とうと心に決めます。

大会決勝戦

決勝戦、若菜ちゃんはおばあちゃんから十二単衣を着せられて試合に出ることとなりました……重くてやりづらそうです(汗)

会場に行くと、男性の部で優勝した滝くんがいました。そして、紙を靴箱に入れたのが自分だと伝え、滝くんの名言が飛び出します。

きみは自分の腕に満足しなかったから上達したんだ
なまじうまいからって
これでいいと思ったらおしまいだよ
ね 黒沢さん

滝くんかっこいいわー。

試合とアクシデント

いよいよ始まった決勝戦。試合は若菜ちゃん優位の展開で試合が進んでいきます。しかし、急に耳が聞こえづらくなってしまい、札を取ることが出来なくなってしまいます。実は、試合直前に黒沢さんから渡されたお茶に薬が入れられており、聴覚を一時的に麻痺させられてしまっていたのです。

自陣は残り1枚。あと少しで勝てるのに……そこで若菜ちゃんは、読唇術によって読み手の口元を見て札を取る作戦に出ます。読まれた札は「あまの」……3文字目の口元を見て札を取って見事優勝!

滝くんからの送り札

優勝を決めた若菜ちゃんに、滝くんから1枚の札が無言で渡されます。渡された札は……

かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思いを
(訳:これだけ思っていることをあなたにいえないで 燃えるような私の思いを あなたは知らないのでしょうね)

というわけでハッピーエンドとなりました。

感想まとめ

細かいところを見ると、かるた会や大会の設定・札の並べ方や取り方など、ツッコミどころは色々とありました。しかし、最初に百人一首や競技かるたについて説明し、競技シーンで札が読まれたときにはその歌の訳を書いたり、しっかりと百人一首を絡めて締めくくったりなど、短編としてうまくまとまっているなと感じました。コミックス化されていないのが非常に惜しい作品だと思いました。

2 Comments

  1. こんにちは! いつも楽しく拝見しています。

    「はーい とりました!」なつかしい~!!!!
    小学校の時に読みました!
    毎月、別マ(別冊マーガレット)を読んでましたが、
    この河あきらさんのシリーズは、いつも知らない世界を
    見せてくれるので楽しみでした。
    (特急の車内販売員さんのお話とかもありました)

    その中で、このカルタのお話は秀越で、
    最後の「あ」「ま」「の」と、口の動きを
    読むシーンなど、鮮明に覚えています。

    実際のカルタ界とは違っていて、随分脚色が
    あったのでしょうが、この当時「競技カルタ」を
    取り上げるなんて、随分先見の明があったのかも?
    電子出版などで復刻されないかしら…。

    懐かしい話題をご提供いただき、ありがとうございました。

  2. 連投、ごめんなさい。

    「あ」「ま」「の」
    とありましたが、
    「あ」「ま」「つ」
    ではありませんでしたか?

    なんとなく、「あまつかぜ」…「乙女の姿しばしとどめむ」の
    札のイメージを覚えているのですが。

    ちょっと、このあたり、私の記憶もあやふやなようです。
    間違っていたら、ごめんなさいm(_ _)m

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